コロナウイルスの予防と免疫について解説します
新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の流行が本邦で発生して1年以上が立ちましたがまだまだ収束の目処は立っていません。感染しないために一人ひとりが十分に対策をしていくことが重要です。
また、コロナにかからないために、私達に備わっている免疫を高めていくことも重要です。
今回は呼吸器内科でコロナ患者さんの治療にもあたっている医師として、ヒトの免疫の観点からコロナにかからないためにどのような行動を取るべきかについて解説していきます。
そもそも「免疫」とはどのようなものか
人の免疫は「自然免疫」と「獲得免疫」という2つの働きで成り立っています。体の中にウイルスのような病原体が入ってくるとはじめに自然免疫が働きます。これは体に侵入してきた病原体に対して抗菌分子が病原体に作用して病原体を破壊したり、貪食細胞という細胞が病原体を貪食(食べて処理すること)することで起こります。この自然免疫は特定の病原体に対する反応ではないため、ある病原体に繰り返し感染しても増強しない反応です。自然免疫で処理しきれない病原体に対しては獲得免疫が働きます。これにはリンパ球という細胞が関連していて、以前侵入した病原体がもう一度体に入ってくると、その病原体に特に有効な武器である抗体を作り病原体と戦うというものです。この自然免疫と獲得免疫の働き強さを合わせたものが私達の免疫力というわけです。
(※4分ちょっとの動画です。例え話がわかりやすいですよ!)
ここまで説明してきた中で理解すべきことは、免疫には多くの細胞が関与しているということです。要するに免疫に関係する細胞が元気であれば免疫力は高まると考えても良いのです。
この免疫に関わる細胞たちは骨髄の造血幹細胞で作られています。
この造血幹細胞の働きは加齢とともに低下していきます。
この働きを改善するためにできることを見ていきましょう。
免疫の働きを良くするには?
まず1つ目は適度な運動です。運動と免疫の関係に関しては多くの論文があります。
イギリスの科学雑誌「エイジングセル」に掲載された研究で、自転車を長距離乗る人の免疫を調べたところ、免疫系が20代相当の若さに保たれていたというものがあります。
運動が免疫に良い影響を与える理由としては、
①筋骨格から免疫を刺激する物質が産生されること
②体温が適度に上昇して細胞が働きやすい環境になること
などが挙げられます。
ここで注意すべきことはオーバーワークは逆効果ということです。
無理なく継続できる範囲で運動をしましょう。
1日30分程度のウォーキングや軽いジョギングで十分に効果があります。
体温を適度に保つために運動以外にも体を冷やさないように気をつけたり、入浴などで体温を高めたりと、工夫をするとより免疫を保つことができます。
食生活も重要です。糖尿病やコレステロールなどの脂質異常症があると、免疫の機能は下がります。
またアミノ酸やビタミンなどの必要な栄養素をバランスよく取ることも重要です。
腸内環境を整えることで栄養素の吸収や代謝が改善されるので乳製品や発酵食品は免疫を高めると言われています。
まとめ
今回は免疫について解説し、その免疫を高めるためにどのような行動が有効かを見ていきました。
まだまだコロナが猛威をふるっていますが、感染せずに乗り切れるように免疫を高める習慣を身に着けましょう。
自分自身で気をつけても、先ほど述べた幹細胞は年齢と主に減少します。
それを増やすテクノロジーが最近は出てきましたよ!